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第85号 2007年5月15日発行

■マリアニスト  マリア会司祭 烏山助雄
  

“口から出て来るものが人を汚す”

人は皆一人では生きて行けず、連帯の中で平和に暮らしたいと願っている。

連帯の『和』を乱す最大の要因は「舌禍」ではないでしょうか。「口には関所がない」と言われますが、かといって、何でも自由に相手や場所を考えずに話すことは慎重にならざるをえません。
現代は、人権に反する発言に大変敏感な反応を示す時世でもあります。

『故事.ことわざ辞典』で『口』に関する項を紐解いて見ますと、「口数は少ないのが上分別」、「口と財布は締めるが得」、「口は閉じておけ、目は開けておけ」、「口は禍の門」、「唇を返す」等が目に付きます。聖書を開いて見ても、「自分の口を警戒する者は命を守る。いたずらに口を開く者は滅びる」(箴.13.3)、「愚か者の唇は破滅を、唇は罠を自分の魂にもたらす」(同.18.16〜17)、「口数が多ければ罪は避け得ない。唇を制すれば成功する」(同.10.19)。『シラ書』の中にも同様な警告を見出します。「口数の多い者は嫌われ、他人の話を奪う者は憎まれる」(20.8)、「口を慎む人は、平穏に暮らす。無駄口を嫌う人は、心の負担が軽くなる」(19.6)、「告げ口をする者は、自分自身を汚し、近所の人たちから憎まれる」(21.28)。

マリアニスト家族の創立者シャミナード師は、霊的生活の土台として『沈黙』を遵守することを強調されています。
師は五つの沈黙について解説されます。
@言葉の沈黙。A合図の沈黙。B精神の沈黙。C情念の沈黙。D想像の沈黙です。

言葉の沈黙の説明の中で、シャミナード師は「話したいと思った時だけ話し、話す必要がある時にしか、話したいと思ってはならない」と教えておられます。

話そうと思う時だけ話し、話したいと思ってから始めて口を開くなら、軽々しく、また、生まれつき饒舌だからとの言い訳で話すことも無くなってくる。話す必要がある時だけ話そうと思っている人は、是非とも話さなければならない義務がある時とか、また友情を守らなければならない時以外は、軽々しく話さない。

私たちは日々、無駄口(とりわけ人の悪口)をたたいていることが多いのではないでしょうか。それは両刃の剣のようなもので、話をする本人も、話題にされる人も、この話を本当だと思い込む人も傷つけてしまう。それは、人を悲しませ,躓かせる噂をばら撒き、隣人の評判を落とし、その人の気に障る事を吹聴して人格を傷つけてしまう、愛徳にもとる重大な罪であります。
人々の心に毒麦を蒔くことは、悪魔的な行為であり、誰にとっても避けるべき永遠の課題と言えましょう。『口から出て来るものは、心から出て来るもので、これこそ人を汚す。悪意、殺意、姦淫、淫らな行い、盗み、偽証、悪口などは、心から出て来るからである』(マタイ15.18〜19)。


■マリアへの奉献(2)  マリア会司祭 冨来正博
  

まず奉献という言葉の意味を探ってみましょう。

小学館発行の日本語大辞典には、「神仏、尊貴の人などに物をさしあげること、ささげまつること、献上すること」とあります。

対等の人、あるいは目下の人に何かをあげるとき、奉献するとは言いません。

奉献する動機はいろいろあるでしょう。神仏や尊敬する人物の徳、優れたと二ろを称えるため、庇護、恩恵を願うため、親しさをあらわすため、仲間内と見られることにより、他者に対して優越した立場を誇るためなどです。

ささげる物としては、貴重な物、高価な物、自分にとって大切な物がありますが、目常のものであっても心を込めることによって喜んで受け入れられる物となります。そして極め付けが自分白身をささげることでしょう。

とニろで今話題になっているマリアヘの奉献は、キリスト教で用いられている言葉ですので、キリスト教ではどのように理解しているかを考察しましょう。
奉献と訳している欧米の言葉では、oblationとconsecrationが使われています。
Oblationは神への礼拝のために供え物をささげることを意味します。旧約時代のユダヤ人たちは、神に感謝したり、罪のゆるしを願うため、牛、羊、山羊などの動物や穀物を犠牲としてささげていました。(岩波キリスト教辞典参照) 

その中でも完全な奉献をあらわすものとして、焼き尽くすいけにえがあります。
ささげる人がささげ物の上に手をかざして、自らの罪をささげ物に移し、それを完全に焼き尽くすことによって、神との正しい関係を打ち立てようとしました。

しかし、旧約のいけにえは人類の罪を取り除ぐことはできませんでした。

そこで、キリストは、「ご覧ください、わたしは来ました。聖書の巻物にわたしについて書いてあるとおり、神よ、み心を行うために」(ヘブライ10章)
と仰せられて、ご自分を罪のゆるしのための唯一のいけにえとしておささげになりました。


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