私の召命物語(5) 

 心の中の声に導かれ
 
私が小学生の頃から憧れていたカトリック教会で洗礼を受けてから、今年で丁度60年になります。私の両親はキリスト信者ではありませんでしたし、私が育ったのは第2次大戦の前後でしたから、思想の統制が非常に厳しく教会を探すのは不可能でした。

戦争が終わって数年後、やっとカトリック教会を見つけ出し、洗礼を受けました。その時の喜びは言い表すことはできません。日曜日は喜んで、朝はミサに、夕方は夕の祈りにと、事あるごとに教会へ行っていました。そんな頃のある日、教会からの帰り道、「そんなに教会で祈るのが好きなら、修道院に入ってシスターになったら」という声が心の中に聞こえました。当時の私は、シスターなんてとんでもない。あんな堅苦しい生活は絶対にしない。私は素敵な恋愛をし、幸せな結婚をすることを夢見ていました。しかし、その声はそれ以来決して心から離れることはありませんでした。


それから数年後、入会する修道会を探すことになりました。洗礼を授けてくださった神父様がご存知だった汚れなきマリア修道会へ連れて行ってくださいました。ドキドキしながら玄関先に立った私たちを「よくいらっしゃいました」と温かい笑顔でスペイン人のシスターが迎えてくださいました。神父様と応接室で待っておりますと、美しいスペイン人の院長様が手作りのケーキを持って入っていらっしゃいました。「どうぞ、召し上がれ」と言われても、初めてお会いするシスターと話せるというだけで、緊張のかたまりになっていた私は、とても手が出ませんでした。やがて、神父様と院長様はシスター方への授業のために応接室を出て行かれたので、私は一人になって、ホッとして、そのケーキを全部いただいてしまいました。おいしかった!

その後、2,3の修道会を訪問しましたが、最初に迎えてくださったシスターのあの温かさにひかれ、汚れなきマリア修道会に入会することを決心しました。

こうして私はシスターになり、もう50年以上になります。この間に私が分かった事は、どんなに大変な困難と思われるものでも、神様はそれを乗り越える力と恵みをいつも下さるということです。神様は私を引き寄せてくださり、今では神様のみ手の中で落ち着いていられる毎日です。

シスター 石原迪子
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